2013年1月21日月曜日

小児の症候性徐脈はCPR

1/18-1/19にかけてPALS(Pediatric Advanced Life Support)の講習を受けて来ました。
この資格はBLSの資格を持っていれば受講することができるのですが、正直甘く見てました。BLSの知識を持っていればいいということなので、ACLS-EPよりは随分楽だろうと考えてました。

PALSの講義を受ける際にプロバイダーマニュアル(\15,000)を購入した上で、それに付いている受講前のリストを受付に提出しなければならないのですが、そのリストには「PALSの内容の理解が不十分と判断された場合、資格を受け取ることができないことがあることを承諾します」的な誓約文があり、それにチェックを入れなければなりません。しかもPALS受講時に返ってきたメールには「事前学習が不十分な場合は、受講いただいても修了証を発行できない、という残念な結果になりかねません。」みたいなことも書かれているし。PALSを受ける際には主催団体に\45,000という大金を払わなければならないので、不合格となると随分ダメージが大きいです。

それで当日、受講者は小児科の先生とか小児救急の看護師さんとかベテランの方も普通に混じってました。中にはPALS資格更新の方もおられたのですが、今回の受講が3回目になるという方も・・・。18人中研修医は3人だけだったらしく、随分浮いてしまってた気がします。

PALSでも心肺蘇生法を学ぶのですが、ACLSと大きく違うのは薬の分量をいちいち体重換算しなくてはならないということです。ACLSだと成人相手なので、心室細動時にアドレナリン1mg、アミオダロン300mgとか分量は決まってますが、小児だとアドレナリン0.01mg/kg、アミオダロン5mg/kgといったように症例によって量を使い分けなければいけません。分量が完全に決まっている薬は殆ど無いので、他にアトロピンとかアデノシンとか似たような名前の薬があると計算に混乱してしまいます。

あと小児だと症状のある徐脈の対応もACLSとだいぶ違います。成人では症状のある徐脈の場合は最初にアトロピンの投与を試みることになっていたと思いますが、小児の場合は症状のある徐脈は酸素投与でも改善がなければ、まず心肺蘇生、そして2分後も徐脈が続いているのであればアドレナリン(アトロピンが最初ではない)の投与という流れになっていたりします。

必要資格がBLSだけだから甘く見てたけど、実際はACLSより大変でした。講習2日目に実技試験、筆記試験があるのですが両方クセモノです。実技試験は不整脈疾患と呼吸器疾患+ショックの2つが課題になるのですが、呼吸器疾患+ショックが高レベルです。ACLSはだいたい初期対応が終わった後は心筋梗塞が原因なので循環器科に相談しましょうという流れになるのですが、呼吸器疾患+ショックの実技試験は呼吸不全の原因が何か、低血圧の原因がなにかという鑑別から、クループなら吸入、肺炎・敗血症なら抗菌薬、脱水なら輸液、薬物中毒なら拮抗薬といったように、最終診断した上での今後の治療についての判断があります。最後の流れが1つじゃないんです。

なんだかんだで実技試験は周りの人に助けられながら合格しました。で、その後筆記試験になるのですが、結果はその日に返ってきません。合格なのか不合格なのかその場でわからないのも怖いです。結果は1-2週間後に郵送されて来るそうですが、果たしてどうなっていることやら・・・。

2013年1月16日水曜日

エピネフリン

1/14に博多でACLS-EPを受けてきました。EPはエピネフリン(epinephrine)のEPです。通常のACLSの手技とともにエピネフリンの正しい使い方について学んでいくというコースです。

・・・嘘です。EPはExperienced Providerの略らしいです。習熟したACLSの実施が出来る人といった意味合いでしょうか。ACLSでは症候性徐脈、不安定性頻脈の初期治療、心室細動、無脈性心室頻拍、無脈性電気活動、心静止に対する対応などを学びましたが、EPではそれに加えて酸塩基平衡や電解質の異常、薬物中毒、重症喘息、アナフィラキシーなどの循環器に異常が出やすい疾患についての対応を学ぶコースです。

前半はACLSの復習とACLSの筆記試験、BLSの実技試験などがありました。EPコースはACLS資格の更新も兼ねており、これらに筆記試験と実技試験に合格しないと続きのコースが受けられないみたいです。これから受けられる方がいればCPA中の薬の使用方法、除細動後脈拍の確認なしにすぐに心マッサージをはじめること、心拍再開後の対応、PETCO2の意味、不安定性頻脈・症候性徐脈に対しての初期治療などを復習しておくといいと思います。実技はAED使用後にすぐに心マッサージをはじめることを忘れなければいいと思います。

後半はディスカッション形式の講義が中心になります。前述の病態を持つ患者の症例が出てきて、それに対しての輸液量、酸素投与方法、使用薬物などの初期対応を学んでいくという形式になります。いわゆるPBL(Problem Based Learning)みたいな感じです。

ちなみにEPに対しての試験はありません。というのは個々の症例に対しての初期対応に、完璧な初期対応はないからみたいなことらしいです。ただどのような対応にエビデンスがあって、救命できる可能性が上がるのかということを知れて、非常に勉強になったと思います。

写真の右側にあるのがEPのバッチです。
配色はスイス国旗の逆です。
















あと新しい聴診器も届きました。結局Welch AllynのEliteです。小児と成人用のダイヤフラムが簡単に取り替えられるのも便利だし、なんか少し聞こえが良くなった気がしてきます。Classic 2SEはダイヤフラムを取り替えて、とりあえず聞こえてはいますが何かあった時用の代替品としての役割になりそうです。

2013年1月7日月曜日

blog書かないと死亡扱いされそうなので

今日から小児科での研修が始まりました。とは言ってもこの1週間は導入期間で回診や外来での検診が主になるようですが。

で今日は午前中に回診があったわけですが、とんでもないことに気づきました。
今現在LittmannのClassic 2SEなる聴診器を使っています。学生時代に買って、いままでボクの診察を支えてくれた相棒なのですが、小児の胸部に当てた時にカチカチという異音が・・・。上の先生から小児科用の聴診器を貸してもらって聞きましたが、この時はまったく問題のない音が聞こえてきます。患者さんの胸から聞こえてきているわけでは無さそうです。

昼休みに医局に帰って自分の胸に当てて聞いてみましたが、やはりカチカチ音がしてきます。一応ボクには弁膜症とか心室中隔欠損とかないはずなので、異常音なんか聞こえないはずなんですが・・・。

よくよく調べてみたんですが、どうも聴診器のダイヤフラム(膜型)の張りが緩みすぎてるんじゃないかと。ちょっと押してみただけでペコペコってなってる感じ。

原因がどうであれ、今のままではどの患者さんの胸に当てても「胸からカチカチなってますね、ちょっとエコーで見てみましょうか」なんてことになりかねないのでどうにかしなければならないのです。

ネットで調べてみたんですが、どうもダイヤフラムの部分だけでも買えるらしい・・・。が、これだけ買って治らなかったらどうしようという不安もあります。

もういっそのこと思い切って今のLittmannさんを供養して、新しいのを買っちゃおうかなとか考えてます。候補に上がってるのは、LittmannのClassic 2SEかCardiology3、Welch AllynのProfessionalかEliteです(某M先生の研修blogにはClassic 2SEとか書いてたけど、随分選択肢が広がりました)。

一般的なのがClassic 2SE、Professionalで12,000円前後、成人・小児の両方に使えるのがCardiology 3、Eliteで24,000円前後です。倍くらい値段が違います。

小児科は2ヶ月間なので、小児用を別個用意するのは抵抗があります。高いCardiologyとEliteを買うのもどうかと思いますが、でもないとわざわざ上の先生方から小児用の聴診器を借りなきゃいけないし、これから小児を全く診ないという保証もどこにもないから・・・、とかアレコレ考えて迷ってます。

今日明日中には何を買うか決定する予定です(早く買わないと仕事になりませんので・・・)。次回の更新時にもしかしたらお伝えするかもしれません。

2013年1月4日金曜日

鹿児島生協病院の皆様、1-7月までご迷惑をおかけします

12/26に上戸町病院で追い出し会、27日に整形外科での最後の手術が2件あってから、その翌日の28日には鹿児島に移ってました。
それはいいんですけど28日は風邪を引いてしまったらしく、喉は痛いわ、鼻水はずっとたれてるわ、身体は火照ってるのに寒気はするわ、ダルいわで最悪な引越しでした。
2013年からお世話になる鹿児島生協病院にご挨拶に伺おうと思っていたんですが、さすがにウイルスやらなんやらを撒き散らして、初日から「ウイルス」とか「ばい菌」とか名付けられては困るので自重させていただきました(その時は賄賂と言う名の長崎土産も忘れてたし・・・)

なんとか31日には持ち直して、実家のある桃源郷佐賀に帰って数日間過ごしたあと、佐賀錦という賄賂もきちんと買って、そんなこんなで1/4から鹿児島生協病院勤務です。

もう初日から挫けそうです・・・。いままで100床規模の病院で過ごしてきたボクにとっては300床規模の病院はあまりに大きすぎます。ドクターの数もいっぱいいて覚えるのが大変そうです。
そして初日の朝カンファ、夕カンファの見学もさせていただいたのですが、上戸町病院ではあまりみないような重症疾患があったり、搬入時すぐに心臓マッサージが必要な症例があったりと、病院の規模が違うとここまで違うんだなとただただ驚くばかりでした。

1/4はオリエンテーションだけでしたが、1/7の本格的に小児科の研修がスタートする時が心配です。とりあえずいまからアタフタしておくことにします。で、当日からもアタフタします。
ちゃんと賄賂も医局に渡しておいたので、お手柔らかにお願いします。

ご挨拶が遅れましたが、2013年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
今年はへび年なんですね、年開けてから知りました。

今年の目標はまた11月に上戸町病院での研修が始まる前に死なないことです。頑張って生き延びて帰ってきます!!